世界各国で翻訳、ベストセラーとなったエイミー・リプトロットの回想録『THE OUTRUN』が、ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた『システム・クラッシャー』のノラ・フィングシャイト監督の手によって、スクリーンへと蘇る。
スコットランド・オークニー諸島の雄大な自然を舞台に、非線形の語り口で描かれる主人公ロナの断片的で混濁した内面世界を、繊細な演出で丹念に描き出した。
主演は、『ブルックリン』『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』など数々の話題作で高く評価されてきた、若手実力派俳優シアーシャ・ローナン。本作でキャリア最高峰とも言える、成熟した深みと圧倒的な内面性をたたえた演技を披露。切り立つ崖と荒波、風の吹きすさぶ孤島の厳しくも美しい風景と、彼女の静かで力強い表現が見事に融合し、観る者の心を深く揺さぶる“再生の物語”がここに誕生した。
trailer
introduction
story
ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナ(シアーシャ・ローナン)は10年ぶりにスコットランド・オークニー諸島の故郷へと帰ってくる。かつて大都会の喧騒の中で、自分を見失い、お酒に逃げる日々を送っていた彼女は、ようやくその習慣から抜け出した。
しらふの状態で、心を新たに生きるロナ。だが、恋人との関係に亀裂を生み、数々のトラブルも引き起こした記憶の断片が、彼女を悩ませつづける……。
冷たい海と荒れ狂う風の中、逃れたい過去を抱きしめ、鮮やかな明日に手を伸ばす──“わたし”に還る、はじまりの歌。
cast
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〔ロナ〕シアーシャ・ローナン
Saoirse Ronan
1994年にアメリカ・ニューヨークで生まれ、アイルランドで育った俳優。9歳の時に子役としてキャリアをスタートさせ、13歳で出演した『つぐない』(2007)で、史上7番目の若さでアカデミー賞助演女優賞にノミネート。一躍その名を知られる存在となる。その後も『ラブリーボーン』(2009)、『ハンナ』(2011)、『ブルックリン』(2015)、『レディ・バード』(2017)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)などで高い評価を受け、若くして多くの主要映画賞にノミネート・受賞を重ねる。演技力の幅広さと繊細な表現力に定評があり、現代映画界を代表する俳優のひとりとして国際的なキャリアを築いている。『おくびょう鳥が歌うほうへ』では主演だけでなく製作にも名を連ね、自身のキャリアにおいて新たな挑戦となった。
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〔デイニン〕パーパ・エッシードゥ
Paapa Essiedu
1990年にロンドンで生まれ、ガーナ系の家庭で育った俳優。若い頃から演技に興味を持ち、名門ギルドホール音楽演劇学校で演技を学ぶ。2016年、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで黒人俳優としてハムレットを演じ、英演劇界に強烈な印象を残し、批評家からも絶賛される。これにより、イアン・チャールソン賞を受賞した。映画『MEN 同じ顔の男たち』(2022)や『ブラック・ミラー』シーズン6など、映画・テレビでも活躍。『おくびょう鳥が歌うほうへ』ではシアーシャ・ローナンの恋人役として出演している。
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〔アンドリュー〕スティーヴン・ディレイン
Stephen Dillane
1957年生まれ、ロンドン出身の俳優。舞台・映画・テレビを問わず幅広く活躍する実力派として知られる。キャリアの初期からロンドンの演劇界で頭角を現し、シェイクスピア作品やトム・ストッパードの戯曲などで高い評価を受ける。2000年にはトニー賞主演男優賞を受賞し、舞台俳優としての地位を確立。『めぐりあう時間たち』(2002)などに出演したのち、『ゲーム・オブ・スローンズ』(2012–2015)でのスタニス・バラシオン役で国際的な人気を得る。『おくびょう鳥が歌うほうへ』では、精神疾患を抱える父親役を演じた。
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〔アニー〕サスキア・リーヴス
Saskia Reeves
1961年生まれ、ロンドン出身の俳優。舞台・映画・テレビの各分野で長年にわたって活躍している。ギルドホール音楽演劇学校で演技を学び、イギリス国内の名門劇団で数々の作品に出演。映画では、ミカ・カウリスマキ監督『GO!GO!L.A.』(1998)、ホルヘ・ドラド監督『記憶探偵と鍵のかかった少女』(2013)などに出演し、90年代以降はテレビドラマの分野でも存在感を強める。『おくびょう鳥が歌うほうへ』では、主人公ロナの母親役で、過去に娘を支えきれなかった自責の念と、再び向き合うことへの戸惑いを見事に演じた。
staff
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〔監督・脚本〕ノラ・フィングシャイト
Nora Fingscheidt
1983年ドイツ、ブラウンシュヴァイク生まれの映画監督・脚本家。学生時代にドイツのブラウンシュヴァイク劇場で舞台制作の現場に携わり、演劇と演出に関する実務経験を積む。2003年からは、ベルリンにおいて自主運営型の映画学校「filmArche(フィルムアルシェ)」の設立に携わると同時に、シグリッド・アンデルソンが主宰する演技トレーニングプログラム「TANKSTELLE」に参加し、俳優の演技を指導するための技術やシーン分析の方法などを学んだ。その後、バーデン=ヴュルテンベルク・フィルム・アカデミーでフィクション映画の演出を学ぶ。
彼女の卒業制作である長編ドキュメンタリー『WITHOUT THIS WORLD(原題:OHNE DIESE WELT)』は、アルゼンチンに暮らす保守的なメノナイト共同体を題材にした作品で、2017年にマックス・オフュルス賞およびファースト・ステップス賞を受賞した。長編劇映画デビュー作『システム・クラッシャー』は2019年のベルリン国際映画祭でプレミア上映され、銀熊賞(アルフレッド・バウアー賞)を受賞。さらにドイツ映画賞(Deutscher Filmpreis)では8部門を受賞し、2020年のアカデミー賞におけるドイツ代表作品にも選出された。
また、サンドラ・ブロック主演によるNetflix映画『消えない罪』では監督を務め、2021年12月に配信された。『おくびょう鳥が歌うほうへ』では、原作の持つ詩的で誠実なトーンを映像化し、主人公の内面と自然を重ね合わせる独自の演出で再び高い評価を得ている。





